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三角分布(Triangular distribution)

中学生レベル三角分布

代用品としての三角分布

有限区間の単峰分布として、ベータ分布が挙げられますが、この分布は関数がベータ関数という聞いたこともない関数で正体が隠ぺいされている!(実際のところ、Excel を使えば中身など知らなくてもいいんですが)。 また、ジョンソン SB 分布も結局は正規分布累積分布関数が使われているので、その正体はブラックボックスになっているのです。
そこと比べると三角分布の確率密度関数は、中学生でもわかる(失礼!)1次式です。累積分布関数だって2次式にすぎません。
シンプルで扱い易いその性質から、ベータ分布の代用として用いられることも実はよくあるんです。

納期の見積もり(またまた)

ベータ分布の項で説明した PERT手法による納期の期待値算出(3点見積もり)を三角分布で行う場合ももちろんあります(だって代用品だもの)。 その場合、悲観値、楽観値、そして最可能値を用いて、

納期の期待値 = (楽観値+最可能値+悲観値)÷3

と与えられるのです(下記の平均の項目参照お願いします)。

分布の形状

基本情報

  • 3つのパラメータ a,b,ca, b, c が必要です (どうやって求めるの?).

    a<c<ba<c<b

    これらのパラメータはそれぞれ、分布の下限、分布の上限、分布の最頻値を表します。

  • 有限区間 axba\leq x \leq b で定義された連続分布です。

  • 平均対して対称にも非対称にもなり得ます。

確率

  • 累積分布関数

    F(x)={(xa)2(ba)(ca)(ax<c)1(bx)2(ba)(bc)(cxb)F(x)=\begin{cases}\frac{(x-a)^2}{(b-a)(c-a)}\quad&(a\leq x<c)\\1-\frac{(b-x)^2}{(b-a)(b-c)}\quad&(c\leq x\leq b)\end{cases}
  • 確率密度関数

    f(x)={2(xa)(ba)(ca)(ax<c)2(bx)(ba)(bc)(cxb)f(x)=\begin{cases}\frac{2(x-a)}{(b-a)(c-a)}\quad&(a\leq x<c)\\\frac{2(b-x)}{(b-a)(b-c)}\quad&(c\leq x\leq b)\end{cases}
  • Excel での累積分布関数 (c.d.f.) と 確率密度関数 (p.d.f.)の求め方

AB
1データ説明
21.5対象となる値
31分布のパラメータ Min の値
43分布のパラメータ Max の値
51.4分布のパラメータ Mode の値
6数式説明(計算結果)
7=NTTRIANGULARDIST(A2,A3,A4,A5,TRUE)上のデータに対する累積分布関数の値
8=NTTRIANGULARDIST(A2,A3,A4,A5,FALSE)上のデータに対する確率密度関数の値

Triangular distribution

分位点

  • 累積確率関数の逆関数

    F1(P)={P(ca)(ba)+a(P<caba)(1P)(bc)(ba)+b(Pcaba)F^{-1}(P)=\begin{cases}\sqrt{P(c-a)(b-a)}+a\quad&\left(P< \frac{c-a}{b-a}\right)\\-\sqrt{(1-P)(b-c)(b-a)}+b\quad&\left(P\geq \frac{c-a}{b-a}\right)\end{cases}
  • Excel での分位点の求め方

AB
1データ説明
20.5この分布の確率
31分布のパラメータ Min の値
43分布のパラメータ Max の値
51.4分布のパラメータ Mode の値
6数式説明(計算結果)
7=NTTRIANGULARINV(A2,A3,A4,A5)上のデータに対する累積分布関数の逆関数の値

分布の特徴

平均 -- 分布の''中心''はどこ? (定義)

  • 分布の平均 は次式で与えられます。

    a+b+c3\frac{a+b+c}{3}
  • Excel での計算法

AB
1データ説明
21分布のパラメータ Min の値
33分布のパラメータ Max の値
41.4分布のパラメータ Mode の値
5数式説明(計算結果)
6=NTTRIANGULARMEAN(A2,A3,A4)上のデータに対する分布の平均

標準偏差 -- 分布はどのくらい広がっているか(定義

  • 分布の分散 は次式で与えられます。

    a2+b2+c2abbcca18\frac{a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca}{18}

    標準偏差 は 分散の正の平方根です。

  • Excel での計算法

AB
1データ説明
21分布のパラメータ Min の値
33分布のパラメータ Max の値
41.4分布のパラメータ Mode の値
5数式説明(計算結果)
6=NTTRIANGULARSTDEV(A2,A3,A4)上のデータに対する分布の標準偏差

歪度 -- 分布はどちらに偏っているか(定義)

  • 分布の歪度は次式で与えられます。

    2(a+b2c)(2abc)(a2b+c)5(a2+b2+c2abbcca)3/2\frac{\sqrt{2}(a+b-2c)(2a-b-c)(a-2b+c)}{5(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)^{3/2}}
  • Excel での計算法

AB
1データ説明
21分布のパラメータ Min の値
33分布のパラメータ Max の値
41.4分布のパラメータ Mode の値
5数式説明(計算結果)
6=NTTRIANGULARSKEW(A2,A3,A4)上のデータに対する分布の歪度

尖度 -- 尖っているか丸まっているか (定義)

  • 分布の尖度は 0.6-0.6 です。

乱数

  • 乱数 x は一様乱数 U に対して次式で生成されます(逆関数法) :

    x={U(ca)(ba)+a(U<caba)(1U)(bc)(ba)+b(Ucaba)x=\begin{cases}\sqrt{U(c-a)(b-a)}+a\quad&\left(U< \frac{c-a}{b-a}\right)\\-\sqrt{(1-U)(b-c)(b-a)}+b\quad&\left(U\geq \frac{c-a}{b-a}\right)\end{cases}
  • Excel での乱数生成法

AB
1データ説明
20分布のパラメータ Min の値
33分布のパラメータ Max の値
41.8分布のパラメータ Mode の値
5数式説明(計算結果)
6=NTRANDTRIANGULAR(100,A2,A3,A5,0)100個の三角 乱数を Mersenne Twister アルゴリズムで生成します。

メモ: この使用例の数式は、配列数式として入力する必要があります。使用例を新規ワークシートにコピーした後、A6:A105 のセル範囲 (配列数式が入力されているセルが左上になる) を選択します。F2 キーを押し、Ctrl キーと Shift キーを押しながら Enter キーを押します。この数式が配列数式として入力されていない場合、単一の値 2 のみが計算結果として返されます。

関連 NtRand 関数

参照